
「印刷で白色を表現する」と言われたら、どのように印刷すると思いますか?
「白だから、白色のインキで刷るんでしょ?」
答えは「正解だけど、それだけではない」のです。
印刷で使用する紙は白色が多いのですが、
その場合に白を表現するときは主に紙色を生かします。
つまり
「インキが乗っていないので、紙色の白がそのまま見えている状態」
ということです。

また、色上質紙やクラフト紙など、
色がついている紙で白を表現する場合は
白色のインキで印刷をすることになります。

それでは、透明なインキの場合はどうでしょうか?
白い紙に透明のインキで刷るのだから、そこは白だと想像できます。
しかし、透明なインキの中でも透かしインキで印刷した部分は
前回までにご紹介した通り、透けた印象になりますよね。
これを白と言うかは個人の感覚の違いになりますが
「白らしい白」とは言えないかもしれません。
前置きが長くなりましたが・・・
透かし印刷のご依頼をいただいたお客様から
「同じ透明なインキなら、ニスやメジウムでも
透かしインキのように透けるんじゃないかな・・・?」
という声をいただきました。
「いろんな種類の透明なインキで、その見た目の違いを見てみたいです!」
・・・こうなったらまとめて印刷してみるしかありません。
白い紙に透明なインキで印刷したら、やっぱり紙色と同じ白色になるの?
それとも透かし印刷と同じ効果が出るの?いろんな透明なインキを見てみたい!
そして様々な白の表現を実際に見比べてみたい!
「白らしい白」を見つけてみたい!
そんな、様々な思いを込めて・・・
検証
白インキや様々な透明のインキで表現する「白色」に
どのくらいの違いがあるの?
検証スタート
検証物
用 紙 : 純白ロール紙 はまゆう(今回は透かしインキも検証に入っているため、
透かしインキの適正がある用紙を使用します)
※透かし印刷の適正用紙は他にもあります。印刷検証資料で使用する用紙は、増刷する際に都度
変更しておりますのであらかじめご了承ください。用紙名は右上005の下に記載しています。
インキ : 白インキ / オフセット用透かしインキ / グロスニス / メジウム
色 数 : 6色(白インキ+透かしインキ+透かしインキ+グロスニス
+メジウム+グレーインキ)
グレー版:白インキ
シアン版:グロスニス
マゼンタ版:透かしインキ
イエロー版:透かしインキ(2胴目)
グリーン版:メジウム
スミ版:グレーインキ(文字のみ)
※イメージはカラフルですが、実際は左記の通り、
白か透明のインキが乗ります。

各々、20%/40%/60%/80%/100%のチャートと、面積を少し広げた
ベタで印刷。(透かしインキは、1度刷りと2度刷り両方で検証)
データのアウトラインはこのようになっています。
こちらは台紙として用意しています。

印刷結果

画面ではわかりにくく申し訳ありませんが
白インキは突出して「白らしい白」が出ているのがわかります。

透かしインキは前出通り、透け感があるので
背景の色に左右されやすく、
「白」という表現とは違うように思います。
また、ニスとメジウムは透明インキには遠く及ばないものの
若干の透け感が出たため、「白らしい白」という表現には
当てはまらないように思います。 是非、実際の検証物をご覧になってください。
補足事項
透かしインキを使用する際は下記のことに注意が必要です。
・ 透かしインキは固化乾燥しないので、後工程の印字・後加工・箔押しなどができない場合も
あるため、全て検証の必要があります。
・ 透かしインキの上には通常インキはきれいに乗らないため、通常の絵柄は透かし部分を避ける
必要があります。
・ 透かしの絵柄が細かいものは表現しきれない場合があります。
・ 透かしの程度は用紙によって異なります。
・ 通常オフセットインキに使用している植物油(乾性油)を併用していますこの成分は徐々に
黄変します。 また、インキ膜厚の厚いほど、印刷後の経過時間が長いほど、保管場所の温度が
高いほど、変色の程度が大きくなります。
・ 時間の経過とともに、にじみが発生します。
・ 透かし印刷に他の印刷物を重ねて保管した場合、時間の経過や荷重のかけ方によっては透かし
インキが他の印刷物の絵柄に影響を及ぼす可能性があります。
・ 乾燥は最低3日間必要とし、その後加工になります。
・ 全面に透かしを入れるなど、透かしの面積が大きい場合は前もってご相談ください。
