「デザイナーのための印刷研究所」に寄せられた 印刷・加工に関する質問を、
シンプルにわかりやすく解説する【印刷相談窓口】。
今回は、黒色の色差 にお悩みの方からの質問です。
Q.
黒い文字や絵柄が、他の絵柄と重なって透けて見えている箇所があるのですがどうしてですか?また、透けて見せないようにする方法はありますか?
A.
墨100%で出来ているオブジェクトは、オーバープリント設定などをしていなくても下のオブジェクトが透けて印刷される場合があります。これは各印刷所の出力設定によります。データ作成時の工夫で回避することができます。
解説
黒の多くは墨ベタ(黒色/K100%)で表現され、本やパンフレットなどの細かい文字や表などの罫線も、この色で作成することが多いと思います。
細くて小さいオブジェクトは、印刷時の見当ずれにより他の色との隙間(紙色)が目立ちやすく、それがクレームの原因となるため、印刷所ではRIPの際に墨ベタ(K100%)で作成された部分を自動的に墨ノセ(ブラックオーバープリント)処理することがあります。この場合、墨ベタの下にある他の色のオブジェクトに墨が乗った状態で印刷されるので、下の絵柄が透けたように印刷されます。
自動墨ノセによる、意図しない表現 ※1
●その1:写真やイラスト上の墨ベタの帯
水色とスイカの色が黒い帯に透けていて、色差ができている
●その2:白フチをつけた墨文字
墨文字の下に白フチの内側と背景の紺色が透けていて、色差ができている
●その3:人物イラストの墨ベタの帽子
墨ベタで作られている帽子が透けて、見えていなかった坊主頭が見えている
データ作成時に、自動墨ノセを回避 ※1
❶ CMYいずれかの色を、0%→1%にする
自動墨ノセは、墨100%時のみに適用されるため、1%でも他の色が混ざっていればノセにはなりません。C,M,Yのいずれかの色を1%入れる事で、自動墨ノセを回避できます。ちなみに他の色が1%墨ベタに入っても、それによる影響は人間の目には識別できないと思います。
❷ 墨ベタ(K100%)を、リッチブラックにする
❶と同様の理由で、墨100%ではなければ自動墨ノセは適用されないので、例えば C20%,M20%,Y20%,K100%などの色(リッチブラック)にすれば問題は解決され、墨ベタの黒よりも少し濃く深い黒色になります。※2
※1 イラストはイメージです
※1 ❶❷共に、制作時に黒のオブジェクトにはオーバープリント設定・乗算設定をしないでください
※1 印刷所で使用されるRIPによって、出力結果はこの限りでない場合があります
※2 インキ総量(色の%の合計値)が多すぎると裏付きなどのトラブルの原因となります
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