Q08 表面加工による金色の沈み
- デザイナーのための印刷研究所
- 2025年12月18日
- 読了時間: 4分
「デザイナーのための印刷研究所」に寄せられた 印刷・加工に関する疑問にお答えする【印刷相談窓口】
今回は、印刷後の表面加工によって金色が沈んで見えてしまった案件について解説します。

Q.
書籍カバーで金インキを使用したところ想像より沈んだ仕上がりになってしまいました。用紙はアラベール(スノーホワイト)、印刷後にマットPP加工をかけています。金色をもっとメタリックに見せるにはどうすれば良いですか?
A.
金インキの輝きを高めたい場合は、紙の平滑性を上げる、または 表面加工を見直すことが効果的です。 今回のケースでは、用紙/表面加工/印刷条件 の3点を見直すことで改善する可能性があります。
解説
金インキは、インキ内の金属粉が光を反射することで輝いて見えるインキです。そのため、紙の平滑性や後加工との相性によって見え方が大きく変化します。
表面が平滑な紙 :金属粉が均一にのりやすく、反射量が増え、強く輝く
凹凸のある紙 :金属粉が定着しづらく、反射が乱れ、輝きが弱く見える

さらに、ニスやPPなどの表面加工を施すと、印刷面が薄い膜で覆われるため、光の進行が変わります。特にマットPPは光沢を抑える特性があるため、金属感が弱く沈んだ印象になりやすい傾向があります。

現状の観察
弊社サンプルと依頼者様のサンプル(他社刷り)をマイクロスコープ(500倍)で観察したところ、以下の特徴が確認できました。

① コート紙 × 金ベタ (×500倍)
用紙が平滑なため金属粉が均一に定着。
(金属光沢を発揮しやすい状態)

② ファンシー系用紙※ × 金ベタ (×500倍)
※アラベールに近い用紙
用紙の凹凸により未着肉の白い部分が見える。
(金属の密度が低く輝きが低下しやすい状態)

③ 提供サンプル(×500倍)
アラベール × 金ベタ & 墨ベタ × マットPP
マットPPの膜で印刷は不明瞭。微細な気泡・マット剤も確認できる。 これらの要素がメタリック感の阻害要因となっている可能性が高い。
金が沈んだ要因
今回「金が沈んだ」主な要因は次の3点です。
用紙選定:凹凸がある非塗工紙は、金属粉が均一にのりにくい
表面加工(マットPP):光沢を抑え、金属粉の反射が弱まる
印刷条件:紙面にのるインキ量・印圧が足りないと輝きが出にくい
※ファンシー紙が不可というわけではありません(条件調整で改善可能です)
※コスト・表現の意図に応じた検討が必要です
金を沈ませないために|改善策
もっと輝きを出したい場合、仕様変更が最も効果的です。
仕様変更が難しい場合は、製造現場側で各種調整を行うことで改善が期待できます。
1. 仕様変更
用紙の変更:コート紙など表面が平滑な用紙に変更すると、金属粉が均一に定着し反射が増すため、強い輝きが得られます。
表面加工の変更:マットPPをグロスPPに変更する、あるいは、可能であれば表面加工なしにすることで、金属感がより際立ちます。
箔押し(ホットスタンプ)の検討:光沢感・メタリック感を確実に出したい場合、箔押しが最も効果的です。工程やコストは増えますが、仕上がりに明確な差が出ます。
2. 印刷現場での調整(仕様変更が難しい場合)
下地印刷を入れる(ホワイトや近色):平滑性を向上させ、金属粉の定着を助けます。ただし版ズレ(見当ズレ)のリスクがあるため、データ設計時の対策が必要です。
インキ濃度の調整/印圧の増加:検証では印圧を上げることで着肉が向上し、輝きが増した例があります(設備や用紙により適宜調整)。
インキ管理の最適化:タック調整、温度管理、練りローラーの設定を最適化することで、インキの着肉を改善できます。
PP貼りのタイミングに注意:十分に乾燥させてから貼ることで、気泡や密着不良を防ぎ、表面状態を安定させます。
ケーススタディ
今回のケーススタディは下記の通りです。改善策を取り入れ、課題を解決されています。
アラベール+マットPPで金印刷 → 沈みが発生
コート紙+グロスPPへ変更したところ、金の輝き感が大幅UP
クライアントにも仕上がりに満足いただき、当仕様で校了
今回は見送りとなった箔押しも、次回提案候補とする
まとめ
印刷物の「見え方」は、用紙・表面加工・印刷条件が密接に関わっています。
特に金・銀など光を使う表現は、その仕様・制作過程が強く影響します。
迷ったときは事前に印刷会社へ相談いただき、希望する仕上がりを伝えることで最適な仕様をご提案できます。ぜひお気軽にご相談ください。
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