Vol.25 手放されにくい、中綴じ冊子。
- 1 日前
- 読了時間: 5分
Vol.23/Vol.24では、形や構造を工夫することで、「手に取られる理由」や「体験として記憶に残る理由」をつくる中綴じ冊子をご紹介してきました。
しかしながら、中綴じ冊子の価値は「手に取られ、読まれること」だけでは終わりません。
読み終えたあとも、なんとなく捨てられず、気づけば本棚や机に残っている。そんな“手元に残したいと思わせる”ことができるのも、中綴じ冊子の面白さです。
紙の質感、光の反射、触ったときの凹凸感。加工や素材を少し工夫するだけで、中綴じ冊子は単なる情報媒体から、「持っておきたくなる存在」へと変わっていきます。
今回は、質感や仕上げによって、思わず手元に残したくなる中綴じ冊子のアイデアをご紹介します。
特殊紙タイプ
「紙そのものが、印象をつくる」

風合いのある特殊紙を使った中綴じ冊子は、印刷だけでは出せない空気感をつくることができます。
たとえば、やわらかな質感と自然な色味が特徴の「ヴァンヌーボV」や、ラフな手触りでクラフト感を演出できる「OKミューズガリバー」など。紙そのものの風合いを主役にしたデザインは、今も根強い人気があります。
一方で、あえて平滑性の高い紙を使い、無機質さやシャープさを演出するデザインもトレンドとして増えています。ツヤ感のある紙や高白色の紙を使うことで、高級感のあるコスメ系やテック系のブランドらしい洗練された印象をつくることができます。
やわらかな手触りや、艶のある光沢感。
紙そのものの質感や色味が加わるだけで、「普通の冊子とは違う」という印象を自然に残すことができます。
疑似エンボスタイプ
「光と質感で、触れたくなる」

はじきニスなどを使い、紙面に光沢感・凹凸感の差をつくる加工です。
角度を変えることでロゴや柄が浮かび上がったり、指先にわずかな質感の違いを感じたり。視覚だけでなく触覚にも小さな違和感を残せる加工です。実際には平らな紙でも、立体感があるように感じるのがこの加工の面白さです。
最近では、全面にうっすら模様を入れたり、マットな紙と組み合わせて高級感・存在感を演出するデザインも増えています。ファッション・コスメ・カルチャー系の冊子とも相性が良く、「情報」より「存在感」「空気感」を残したいときに力を発揮します。
箔押し・ニス(厚盛り・スポット)タイプ
「ニュアンスのある光で、印象を残す」

金や銀、ホログラムやメタリックカラーなどの箔を紙に圧着する箔押し加工。光を受けて反射することで、タイトルやロゴに特別感を与えることができます。
全面ではなく、一部分だけに使うことで視線を自然に集められるのも箔押しの魅力です。
ブランドロゴやタイトルとの相性も良く、高級感や限定感を演出したい中綴じ冊子によく使われる加工です。
また、“光で印象を残す”という意味では、「スポットニス」や「厚盛りニス」なども人気があります。最近では、ギラッと目立たせるというより、光の入り方や質感の違いで印象を残す使い方が増えています。

特に厚盛りニスは、ロゴやモチーフの一部をぷっくりと浮かせることができ、人気の“ぷっくりシール”のような、思わず触れたくなる感覚も生み出します。見た目だけでなく、つい指先で確かめたくなるような引力があるのも魅力です。
エンボス/デボスタイプ
「触れることで、印象に残す」

紙の一部を浮き上がらせる「エンボス」、逆に凹ませる「デボス(空押し)」加工。ロゴやタイトル、モチーフなどに立体感を与えることで、視覚だけではない印象を残すことができます。
タイトルだけをさりげなく浮き上がらせたり、ロゴを紙に押し込んで陰影だけで見せたり。インキを使わなくても存在感をつくれるため、シンプルなデザインとも非常に相性の良い加工です。
最近では、箔を使わず「空押し」だけで仕上げるミニマルなデザインも増えており、“静かな高級感”を演出したい場面でよく使われています。思わず指でなぞりたくなるような、触覚に残る中綴じ冊子をつくれる仕様です。

PPタイプ
「つい持っていたくなる質感」
PP加工は、表紙にフィルムを貼ることで耐久性や質感を高める加工です。ツヤ感を強調する「グロスPP」は紙面を華やかに見せ、落ち着いた質感の「マットPP」は上品な印象をつくることができます。
最近特に増えているのが、しっとりとした手触りの「ベルベットPP」( ≒「ソフトマットPP」「ソフトタッチPP」など )。まるでベルベットのようななめらかな質感が特徴で、思わず触れ続けたくなるような感覚を生み出します。
また、「ホログラムPP」など、光の角度で見え方が変化するタイプも増えており、カルチャー系やコスメ系の冊子とも相性の良い加工です。
“見る”だけでなく、“持っていたくなる”感覚をつくれる効果が、PP加工にはあります。
中綴じは「持っておきたくなる」まで設計できる
中綴じ冊子は、「読むため」だけのツールではありません。紙や加工の選び方ひとつで、読み終えたあとも手元に残したくなる存在へと変わります。
「どう伝えるか」だけでなく、「どう感じてもらうか」「どう持ち続けてもらうか」まで考える。
その視点を持つことで、中綴じ冊子は、情報を届けるだけでなく、ブランドや世界観そのものを印象づけるツールになっていきます。
おわりに
手に取られる理由をつくり、体験として印象を残し、そのあとも手元に残したくなる。
中綴じ冊子は、その一連の流れを一冊の中で設計できるツールです。
“読むもの”にとどめず、“持っておきたくなるもの”へ。
中綴じ冊子は、「仕様」ではなく「体験」として設計することで、その可能性を大きく広げることができます。
冊子製作、その他の紙もの製作などは、お気軽にご相談ください。
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